年金2008年問題―市場を歪める巨大資金
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人気ランキング : 292,952位
定価 : ¥ 1,890
販売元 : 日本経済新聞社
発売日 : 2004-08 |
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公的年金の積立金と運用を論じる。海外事例が豊富で興味深い。 |
公的年金の資金は約150兆あるが、2008年になると財投での運用がなくなり、財投債と市場運用になる。本書は2008年を見据えて公的年金が積立金を持つ意義および公的年金の運用について海外との比較を行いながら論じたものである。米国・カナダ・アイルランドの考え方がわかる。例えば米国ではグリーンスパンの反対があって公的年金での株式運用は行われていない。
日本では平成16年の法改正によって公的年金の財政の考え方が永久均衡方式から有限均衡方式に変更されたため公的年金の運用資産が将来は大幅に減るのだが、この点に触れていない点が惜しい。
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極めて重要な年金積立金問題 |
年金積立金の話になると、つい頭に血がのぼりがちだ。今では有名なグリーンピア、サンピア、ウェルピア、マッサージ機、黒塗りの車、ゴルフボールだけではない。特殊法人に天下っている厚生労働省の元官僚に「コーポレートガバナンス」などと言われると、社会保険庁こそガバナンスしろと言い返したくなる。しかし、本書は冷静だ。積立金のあるべき運用について、諸外国の豊富な事例を引用しながら述べている。本書を読めば、いかにわが国の積立金運用が異常かがよく分かるだろう。
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年金の本質とは。 |
本書は、年金積立金に関する考察と、その前提としての年金制度に関する分析を述べた書である。年金積立金が、財政投融資から離れて完全な自主運用に移行する2008年という年限を象徴的にとりあげ、その意義とインパクトについて述べる。
年金積立金というと、社会保険庁がグリーンピアで不正支出なので云々というような、いわば明らかに端パイのような議論とか、株や外債で○兆円すったのはけしからんとかという資金運用の「し」の字も理解しない短絡的な議論が横行しており、そもそもの受益と負担のアンバランスにまったく意をいたさない軽薄な議論が横行していて辟易するわけであるが、本書は、年金制度は何のために存在し、その資源の移転はどのような含意を持ち、その中で年金積立金はどのような意義を有するのかと言うごくごく基本的なところを押さえてから、年金積立金のあり方について論じる。
本書の射程は、国民の生活を支える社会保障から、金融市場における年金資金の意味、またマクロ的な成長の配分といった内容を含み、非常に大きな視点で年金制度を位置づけているところに深みがある。本書が述べる、このようなマクロな視点が国民に共有され、端パイ的な、あるいはミクロな短絡的な議論から年金制度という奥深い議論が開放されることを期待したい。
ちなみに、本書の議論の射程は、年金問題と比較すればどうみても国民経済的には端パイでしかない郵政民営化の議論を包含しているので、郵政民営化の議論に興味がある人にもお勧めの本であることを付言したい。
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『公的』ゆえに求められる資産運用の在り方とは? |
2001年度以降の財政投融資改革により、公的年金積立金の運用は厚生労働省(正確には傘下独立行政法人)による市場運用に移行することとなった(積立金全額の償還は2008年度に完了予定)。しかし、公的年金積立金の運用は、@政府が投資主体となること、およびA資金規模が巨額過ぎること、という2つの特性ゆえ、民間の資産運用とは異なる次元の問題が山積している。本書は、これら議論のための基本的な概念整理を目的に書かれたものである。まだ問題提起のみに留まってる部分も多々あるものの、国民的に広く議論を興して解決策を模索しようという意欲が滲み出ており、この問題の論点整理に最適な一冊。海外の公的年金運用事情にも詳細に触れており、特に以下の事例は大変興味深かった。
・アメリカの公的年金は全額国債運用(←株式投資反対派が良く引き合いに出す)だが、これは市場には流通していない「非市場性国債」であり、むしろ財投改革以前の預託金運用に近い仕組みである。
・カナダは株式や不動産による運用も行っているが、これら投資方針を決定する機関は政府からの独立性が非常に強く、政府は投資判断等に口を挟めない仕組みになっている。メンバーも大半が民間のプロフェッシナルである。
・アイルランドは積立金の殆どを国外資産で運用しており、しかも、財政規律維持のため、年金資金による自国債投資を法律で禁止している。
etc